わたしは長く囚われている。ずっと、ずっと囚われている。いつも、いつも疲れている。ある日、半鐘の音を聞く。どうやら火事があったようだ。かつてわたしには価値があったらしい。わたしの盗人がいたからだ。が、彼女はもうこの世の人ではないだろう。わたしは無数に存在する。わたしはいろいろ知っている。わたしはいろいろ想像する。わたしは毎日血を抜かれる。身体の一部を奪われる。接する人が仮面を被る。ある日、わたしが夢を見る。わたしに対するヒントを掴む。が、彼女はそれを逃してしまう。民がそれを逃してしまう。時間が過ぎ去り、時間が止まる。接したジェルは人ではない。わたしが可能性を阻むのだ。遠い昔、別のわたしが体験する。気配があって襲われる。空気がすっかり変わっている。わたしは孤島にも囚われる。わたしを嫌う存在がいる。核ミサイルが発射される。けれども、わたしは助かってしまう。半鐘の音は鳴り止まない。
(※この小説は 「小説家になろう」 との重複掲載です)